大規模修繕工事で増えている「管理組合になりすまし」|施工会社が行う不正行為と対策
大規模修繕工事の現場では、施工会社や関連業者が管理組合になりすます不正行為が全国で増加しています。
理事会の名前や権限を勝手に使い、見積り依頼・資料取得・契約交渉を行うケースもあります。
この“なりすまし”は、管理組合の意思決定を歪め、重大なトラブルへ発展する可能性があります。
本記事では、管理組合が実施すべき実践的な対策を専門家の視点で解説します。
1. 施工会社による「なりすまし」とは何か?
大規模修繕を行う際、施工会社またはその下請会社が、管理組合や理事会の名を語り、
次のような行動を取るケースが報告されています。
- ✔ 理事長の名前を使って管理会社へ指示を出す
- ✔ “理事会から依頼された”と嘘をつき、他社に見積りを断らせる
- ✔ 住民に誤った説明チラシを配布する
- ✔ 工事必要性を誇張し、急がせることで競争を避ける
これにより、管理組合の選択肢が不当に狭まり、高額契約や品質問題につながるリスクがあります。
2. なぜ“なりすまし”が起きるのか?
① 発注者(管理組合)が専門知識を持たないから
施工会社は専門用語や技術を武器に「専門家っぽく」振る舞うため、管理組合が気づかないことがあります。
② 情報が施工会社側に集中してしまうから
現場調査も仕様確認も施工会社が主体になると、情報の非対称性が生まれ、都合よく誘導されがちです。
③ 管理組合の役員が毎年入れ替わるため
引き継ぎが不十分だと、過去の方針や議論が見えず、施工会社が主導で話が進む状況が発生します。
3. 実際に起きた“なりすまし”事例
あるマンションでは、施工会社が「理事会の承認済みです」と住民説明を実施。
しかし理事会は何も知らず、住民との信頼関係が大きく損なわれました。
調査の結果、その施工会社は他社の見積りを妨害し、競争を避けていたことが判明しました。
別のケースでは、施工会社が理事長名義のメールを管理会社に送り、
「当社のみで見積り依頼してください」と指示していたことが発覚。
これは完全な不正行為です。
4. 管理組合が取るべき“なりすまし”防止策
① 発注者(管理組合)からの公式連絡は「2経路」で伝える
管理会社、設計者、施工会社への連絡は
(1)理事長メール + (2)議事録・議決書
の2つをセットにし、第三者でも確認可能な形を取ることが重要です。
② 理事会以外が勝手に外部と交渉しないルールを作る
- ✔ 見積依頼は理事会決議に基づく書面で行う
- ✔ 交渉窓口を一本化(理事長または修繕委員長)
- ✔ 外部企業との接触は議事録に必ず記録
③ 設計監理方式を採用する
工事の仕様・数量・予算を第三者(設計者)が作成し、施工会社とは分離する方法です。
→ 設計監理方式とは?
施工会社が勝手に進められない透明な体制を構築できます。
④ 公式文書には必ず「発信元」を明記する
理事会名、担当者名、連絡先の明記が必須です。
施工会社が勝手に理事会名を使う余地をなくします。
⑤ 建物劣化診断を独立した第三者に依頼する
施工会社が調査すると、
「工事ありき」で計画を作るケースがあるため、
建物劣化診断は独立した立場の専門家に依頼するのが鉄則です。
⑥ 理事会と管理会社の役割を明確にする
管理会社が施工会社と癒着してしまうケースもあるため、
管理会社には調整・事務サポート、
意思決定は理事会中心で行うことが重要です。
5. “なりすまし”は発覚しにくい|だからこそ仕組みが必要
なりすまし行為は、施工会社が「現場調査」「見積り」「住民対応」を主導する構造の中で起こります。
気づいたときには既に工事が決まりかけている
というケースが非常に多いのが実情です。
そのため、
事前にルール化し、情報を管理組合が持つ仕組み作り
が最重要です。
6. まとめ:透明性の確保が最大の対策
施工会社の“なりすまし”を防ぐ最大のポイントは
決定権と情報を管理組合が持つことです。
そのためには、
✔ 書面ルール
✔ 連絡経路の確立
✔ 第三者(設計監理者)の活用
✔ 建物診断の中立性
を徹底することが不可欠です。
センターオフィスでは、長期修繕計画の見直し、建物劣化診断、設計監理など、
管理組合の立場に立った完全中立の支援を行っています。
