マンションの維持管理には「長期修繕計画」が欠かせません。
しかし実際には、誤った前提や更新不足により「間違いだらけの計画」となってしまい、
資金不足や修繕トラブルにつながるケースが少なくありません。
本記事では、長期修繕計画の失敗例とその原因、見直しの重要性を整理します。


よくある長期修繕計画の間違い

  • 修繕周期を固定しすぎる
    → 建物劣化の実態を無視し、10年・12年といった固定周期に縛られてしまう。
  • 費用試算が古いまま
    → 作成から10年以上更新せず、物価上昇や資材高騰を反映していない。
  • 積立金不足を放置
    → 修繕積立金が将来不足することが分かっていても、見直しを先送り。
  • 調査・診断を反映していない
    建物劣化診断の結果を取り入れず、実態と乖離。
  • 住民説明が不足
    → 理事会や総会で根拠が説明できず、合意形成に失敗。

失敗例:長期修繕計画の落とし穴

事例1:築25年・80戸・東京都内

10年前に作成した長期修繕計画を放置。工事単価の上昇により、次回大規模修繕工事費が想定より25%高額化。
積立金では不足し、一時金徴収を余儀なくされ、住民間でトラブルが発生しました。
計画見直しを実施し、積立金増額シナリオを導入してリスクを回避。

事例2:築30年・40戸・千葉県

外壁劣化が進行していたが、既存計画では修繕時期を後回しに設定。
実際の劣化診断では早期対応が必要と判明し、急遽工事を実施。
工事発注が慌ただしくなり、施工会社選定も不十分なまま契約し、追加費用が発生しました。

事例3:築22年・50戸・神奈川県

修繕積立金の試算が甘く、資金不足が予想される状態だったにもかかわらず対応が遅延。
総会で「なぜ早く増額を検討しなかったのか」と住民から強い反発を受け、管理組合が混乱しました。


なぜ失敗するのか?

失敗の背景には、計画放置・前提条件の誤り・合意形成の不足があります。
「作成したから安心」ではなく、定期的に更新し、診断結果や物価変動を反映させなければ、計画は機能しません。


失敗を防ぐための見直しポイント

  1. 建物劣化診断を定期的に実施し、劣化状況を計画に反映
  2. 5〜6年ごとに長期修繕計画を見直し、物価変動や積立状況を更新
  3. 複数シナリオ(積立増額案・周期短縮案など)を準備して理事会・総会で提示
  4. 住民説明資料を整備し、合意形成をスムーズに
  5. 見積り査定支援と連携し、発注前にコストの透明性を確保

まとめ

長期修繕計画は「作ったら終わり」ではなく、「定期的に見直す」ことが不可欠です。
間違いだらけの計画を放置すれば、資金不足やトラブルを招きます。
正しい診断・現実的なシミュレーション・透明な合意形成を通じて、失敗を未然に防ぎましょう。

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