大規模修繕工事では「設計監理方式」を採用する管理組合が増えています。
独立した設計事務所が仕様書・図面を作成し、工事監理を行うことで透明性と品質を確保できる方式です。
しかし、設計監理を導入したにもかかわらず失敗に終わるケースも存在します。
本記事では、設計監理方式の失敗例と原因、回避のポイントを整理します。
設計監理方式とは
設計監理方式は、施工会社とは独立した設計者(建築士)が、
実施設計 → 入札補助 → 工事監理を行う方式です。
管理組合にとっては、見積り査定の透明性や、工事監理による品質確保に直結するメリットがあります。
設計監理方式でも失敗する例
1)仕様書・設計内容が不十分
失敗例として多いのが、設計段階で仕様が曖昧なまま工事発注してしまうケースです。
「下地処理をどこまで行うか」「使用する材料のグレード」などが明記されず、
結果として見積りが各社でバラバラになり、比較ができない状態になります。
2)工事監理が形骸化している
設計者が定期的に現場を確認せず、監理業務が実質的に機能していないケースです。
その結果、施工不良が見逃され、修繕直後に不具合が発生することもあります。
監理報告書が形だけで写真や指摘内容が乏しい場合は要注意です。
3)住民合意形成が不十分
設計監理が技術的に優れていても、住民への説明不足で反発が起きる失敗例もあります。
「なぜこの仕様が必要なのか」「なぜこの工事費なのか」の説明が不足すると、
工事直前に総会で否決されるなど計画全体が頓挫してしまいます。
事例:設計監理方式の失敗から学ぶ
事例1:築28年・70戸・東京都内
仕様書に「外壁補修一式」とだけ記載され、補修範囲が曖昧だったため、
見積り比較で金額差が40%以上に。結果として再見積り・住民説明が必要になり、
工事開始が半年遅延しました。
事例2:築22年・50戸・神奈川県
工事監理者が月1回しか現場に来なかったため、鉄部塗装の下地処理が不十分なまま仕上げられ、
2年後に大規模な補修が必要に。監理の頻度や体制を契約時に明確にしていなかったことが原因でした。
失敗を防ぐためのポイント
- 仕様書・図面を詳細に作成し、数量・単価の根拠を明確化する
- 工事監理の頻度や方法を契約で定める(週次確認・写真付き報告など)
- 住民説明会を複数回実施し、計画の背景や費用の根拠を丁寧に説明する
- 長期修繕計画見直しと連携し、将来を見据えた設計を行う
まとめ
設計監理方式は大規模修繕工事を成功させる有効な手段ですが、
「仕様不備」「監理不足」「合意形成の欠如」により失敗するリスクもあります。
信頼できるパートナーを選び、仕様・監理体制・住民説明を徹底することで、
初めてその効果が発揮されます。
